入居者が転倒・骨折してしまったら

介護施設において転倒・骨折事故はもっとも多いトラブルであり、近時、入居者が転倒・骨折したことで裁判になる例が増えています。

いざ裁判になると、介護事業主側に、現場からすればおよそ不可能とも思える厳しい注意義務が課され高額な賠償を命じる判決がでることもあります。

かつては介護施設にお世話になっているという気持ちもあり裁判にならなかったものが、平成12年に介護保険制度が施行され、措置から契約へと制度が変化し、利用者の権利意識が高まってきたことも裁判増加の一員であるかと思います。

 

裁判になった場合には、転倒が予見できたかどうか、また、転倒を回避できたかどうかが大きな争点となります。予見可能性や回避可能性については、抽象的にではなく、具体的に、当時のその具体的状況下にて予見出来たか否か、回避措置をとることが出来たか否かが問われることになります。そのため、普段から介護日誌等はできるだけ具体的に記載するなどの対策が必要になります。ビデオカメラの設置も当時の行動を記録するという意味で有効です。なによりも転倒防止のために施設内部及び施設外部とどれだけコミュニケーションをとっていたのかが重要になります。

 

また、早期に示談を成立させ裁判になることを防ぐことも重要です。裁判になってしまう大きな原因は施設側に対する不信感にあります。施設利用者の家族の不信感をぬぐうためには適切な資料に基づき真摯に説明をすることが必要です。そういた対応も弁護士にお任せ下さい。