職員のメンタルヘルス問題

メンタルヘルスとは「心の健康」という意味であり、近年メンタル不全(メンタルヘルス不全)が大きく問題となっています。日本では2000年代に入りメンタル不全の患者が300万人を超えました。平成26年の労働安全衛生法の改正でも、企業にメンタルヘルス対策をとることが義務付けられました。

 

介護の分野でも人材不足から来る長時間労働等により従業員がメンタル不全になってしまう事例が増えています。使用者である介護事業主は、安全配慮義務の内容として、労務の提供にあたって、労働者の生命・健康を危険から守るよう配慮すべき義務を負っています。介護事業主がメンタルヘルス対策を何も講じず、労働者がうつ病などのメンタル疾患になった場合、安全配慮義務違反として債務不履行に基づく損害賠償義務を負う可能性があります。介護事業主の安全配慮義務違反が認定され、当該義務違反と発生した損害との間に因果関係があるとされた場合、うつ病に罹って自殺してしまったケース等など場合によっては、数千万円単位の賠償責任が生じることもあり得ます。

 

このようなリスクを回避するためには、①メンタルヘルス不全の原因の洗い出しとその対策、②従業員の復職支援対策(休職制度、復職支援)、③従業員一般の健康管理対策(健康診断の実施、法令やガイドラインの遵守)等をとる必要があります。介護の分野では人材はまさに人財です。人財を失わないためにも事前に弁護士にご相談ください。